慶應鶏肋録

めし、フロ、慶應通信の勉強(卒論)、ついでの雑用とか

「おもしろがる」気持ちがスキルやノウハウより大切 ~『「週刊文春」編集長の仕事術』(1)

赤座林です。 新谷学『「週刊文春」編集長の仕事術』(ダイヤモンド社)、読了。
雑誌不況といわれて久しい中、「文春砲」といわれるスクープを飛ばし、13年連続で雑誌売り上げNo.1を達成している「週刊文春」。 その編集長である、新谷学さんが「週刊文春編集長の仕事術」と題した本を出した。このブログサービス「カツブロ」主宰の勝谷誠彦さんの〈系譜〉からしても、これは読まずばなるまいと手に取ったが、とにかく面白い! この新谷編集長も、〈花田(紀凱)山脈〉に位置する人なんですね。
今回は目次の抜き書きをしてみた。
目次がだいたい「仕事術」をあらわしているので、そのまま抜き書きし、そこにその見出しの本文から引用に値する箇所も添え書きしてみたのである。
長いので3章ずつ二部に分けることにする。 編集者ってライブ感覚が大切だというのが、よく解る。
章立ては全部で6つ。

 

 

 

1章「情報/人脈」 2章「企画/発想」 3章「依頼/交渉」 4章「組織/統率」 5章「決断/覚悟」 6章「戦略/本質」

・1章「情報/人脈」

1.「人間対人間」でとことん付き合う・・・『週刊文春』も業の肯定である 2.本当の信頼は「直接会う」ことでしたか生まれない・・・相手の表情とか仕草、間合い。そういう温度感も含めて情報である。私は今でも毎日新しい人に会うように心がけている 3.インテリジェンスな密会は早朝のホテルで 4.ゼロの状態からどうコネクションを作るか・・・大切なのは図々しさ。基本的に「情報はギブアンドテイク」 5.袖振り合うも全部ネタ元・・・どれだけ人に会うか、その出会いをどれだけ大切にするかに尽きる 6.その世界のキーマンにたどり着く方法・・・「この人だ」と思った人物と話していて、共通の知人の名前がでたら、その人を入れた3人で会合する 7.VIPが本当に信頼している人を見極める・・・ホットラインは、その人と真摯に付き合っていれば必ず解る 8.事前の準備とその場の肌感覚・・・その人が褒められたいポイントをしっかり踏まえて話を進める。我々は出会った人によって鍛えられる 9.敬意は表しても迎合するな・・・誰が相手でも、偉い人であってもなるべく直球でものを言うように心がけている。編集者はサービス業であり接客業である 10.長期的な信頼関係をどう築くか・・・折に触れて、こちらから積極的にアプローチをすることが大切 11.すごい人ほど社交辞令で終わらせない・・・面白いのは、肩書きがハズレても人間同士の関係を維持するタイプの人の方が、その組織の中で圧倒的に出世しているということ

2章「企画/発想」

1.みんなが右と言っているときに左を向けるか・・・「ちよっと待てよ」という違和感がスクープを生みだすきっかけになることがある 2.糸口を見つけたら、すぐに一歩を踏み出す・・・「実現できたら、面白いな」と思ったら、まずやってみることが大切。そして、The Show MustGo on.(続けることが大事)の精神が大切。 3.「おもしろがる気持ち」にブレーキをかけるな 4.「ありそうなもの」を避け「見たことのないもの」をつくれ 5.「ベストな選択肢」から逃げるな・・・何ごとも「こうなったらどうしよう」と心配するよりも、まず「こうなったらおもしろいな」と考える 6.私の雑誌作りにマーケティングの文字はない・・・我々が求めているのは「見たこともないもの」であり「誰も予想がつかないもの」だ 7.「どうなるかわからない」かおもしろい・・・週刊誌は究極の「結果オーライ」ビジネス。8.辛い時期こそフルスイングせよ・・・「大きくは勝てないけど負けない闘いをしよう」とい縮小再生産の発想で作ると、前よりも絶対につまらないものになる上に、思った以上に売れなかったりする 9.基準は「自分がおもしろいかどうか」 10.何もない「更地」に「新たなリング」を立てる・・・ビジネスがうまくいっていないときほど、他人のリングで戦おうとしてしまう。うまくいっていないときこそ勇気を出して、何もない更地に新たなリングを立てねばならない 11.売れる企画の条件は「サプライズ」と「クエスチョン」・・・まず考えるべきは、圧倒的に「おもしろいかどうか」だ。もうひとつは、世の中の人が知りたいと思う「?」が、どのくらい残っているのか 12.見出しがすぐに浮かぶ企画がいい企画・・・説明的なタイトルはよくない。タイトルは短い方がいい。花田(紀凱)さんがよく言っていたのは「声に出して読んでみて気持ちのいいのがいいタイトルだ」ということだ。酒のつまみになるタイトルかどうかも意識する 13.大切なのは「どうなる」のではなく「どうする」・・・現状を嘆くのではなく、未来に対して「どうなるのだろう」と心配するのでもなく、「どうするか」と自ら道を切り開く

3章「依頼/交渉」

1.悩む暇があるなら、やれることは全部やれ 2.まず頼んでみる。断られてからが仕事・・・とにかく、常に「ベストのシナリオ」を描いて、まず頼んでみる。よく現場の人間にも言う。断られたところから俺たちの仕事が始まるんだ、と。 3.真摯な説得と地道な裏づけ取材 4.しゃべる気のない人をその期にさせる方法・・・事件取材もビジネスも基本はマニュアルではない。全ては人相手。理窟を1回取っ払って、裸の人間同士で状況に向き合う 5.「何のために働いているのか」を常に考える・・・自分が少しでも世の中の役に立ちたい、人々の幸せな暮らしに寄与したいと思ったときに、この目の前の仕事がどう関係するのか。 6.全ての出会いは一期一会。聞くべきことはその場で聞け・・・「次に会うとき聞けばいいや」というのはダメ 7.ネガティブなことほど、早く、率直に伝えよ 8.親しき仲にもスキャンダル・・・食い込む、情報を取る、そしてきちんと書く。批判した相手と縁が切れてしまうのではなく、むしろ、そこで腕を見込んでもらう。どうせなら週刊文春にやってもらいたいと思われるような存在で居続ける 9.懐に飛び込み、書くべきことを書ききる・・・なぜ、その人間を書くのか。人間への興味というのは、まさにそこである。政治家だろうが、芸能人だろうが「憎たらしい」「けしからん」「やっつけろ」「やめさせろ」ではなく、やはり「人間っておもしろいよな」と思うこと。この「人間のおもしろさ」をとことん突き詰めて。「いったいどんな人なんだろう」とアプローチしていくのが、文藝春秋という会社の原点でもあるのだ 10.スピードが熱を生む。走りながら考えよ

後半へとつづく。