池井戸潤『下町ロケット』(小学館文庫)、読了。昨夜の読書会の課題テキスト。ぼくはこの作者の作品、初読でした。第145回直木賞受賞作で、累計100万部突破(/""-"") というから、詳述は省きました。
- 作者: 池井戸潤
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2013/12/21
- メディア: 文庫
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参加者の方が、丁寧に人物相関図を書いてくれたので、話し合いをだいぶラクに進めることができました。有り難うございました。
いま芥川賞候補作を読んでいるけど、登場人物が少ないのに読むのに難儀している作品もあるのに、これだけの人物を掻き分けて読者に飲み込ませるのは、やっぱり手練れですね(断っておきますが、難儀していることと、その作品がいい/悪いということは関係ないです)。
あらすじ等は省いて、昨夜のみなさんからの、印象に残ったコメントをあげておきます(メモしていなかったのでうろ覚えですが)。
- 一読、スカッと爽やか。他の作品も読みたい!(※池井戸作品初読が、ぼくを含めて4名)
- 昨夏ケネディ宇宙センターに行ったがあるが、そのときはもうスペースシャトルの打ち上げ実施は終了し、おわコン感が漂っていた。
- ちなみに、中目黒にも「ケネディ宇宙センター」がある(笑)。焼肉屋ですが。http://nakamejournal.com/ksc.html/
- タイトルは下町だけど、舞台は下町じゃないよねえ。
- いわゆる「経済小説」の部類にいれられないように、タイトルを工夫していると聞いたことがある。
- 印象に残っているキャラクタは、殿村(多数の支持を得ていました)。ポジショニングがいいよねー。最初は嫌われるのに、最後は勝利の乾杯の音頭をとるんだもん。
- ナカシマ工業との係争があっという間に終わって、ちょっとがっかり。帝国重工とつるんで、その意趣返しをしてもらいたかったなあ。もっと粘って(笑)。
- 社長の佃はそんなに熱血漢じゃないけど、まわりがみんな熱いキャラばかり。味方も敵も。
- 作中、娘とはなかなかわかり合えない関係がずっと続いていて、きちんと和解のプロセスを描いていないのに、最後の最後でロケット発射に成功したら、娘が「すごいね、パパ!」と”和解”にもっていくのは、そりゃ違うでしょ。パパはたしかに仕事では頑張っているけど、それは家庭内平和とは結びつかない。
- 弁護士の神谷と元妻との関係が気になりますわね。
- 個人事業主で、ふだんひとりで仕事をしているので、部下との丁々発止というのは憧れますね。
人物相関図を眺めながら、みなさんとドラマにしたときのキャスティングまで語り合いました(笑)。
最後にわりと多くの人があげていたセリフを抜き書きします。
主人公の佃社長が夢ばかり追いかけていて、社員のことを何も考えていないと不満をぶつける真野という社員への、主人公の言葉。
「俺はな、仕事っていうのは、二階建ての家みたいなもんだと思う。一階部分は、飯を食うためだ。必要な金を稼ぎ、生活していくために働く。
だけど、それだけじゃあ窮屈だ。だから、仕事には夢がなきゃならないと思う。
それが二階部分だ。夢だけ追っかけても飯は食っていけないし、飯だけ食えても夢がなきゃつまらない。お前だって、ウチの会社でこうしてやろうとか、そんな夢、あったはずだ。それはどこ行っちまったんだ」(引用者、適宜改行)
真野は結局佃のもとを去りますが、新規事業でアタマを悩ます佃に、新しいビジネスのタネを送ることになります。