岡田斗司夫『プチクリ 好き=才能!』(ロケット)、読了。もう10年近くまえの本だけど、書かれていることはいまでも充分通用すると思う。
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プロのように100%じゃないけど、ちょこっと楽しくクリエイタをしている人たち。「プチクリ」とはそんな人たちだ。
昼間は高校生だけど、夜はストリートミュージシャン。「ケータイ短歌」に投稿してるあの人は、じつは中学生。韓国ではやっている鍋料理のレシピを研究して再現し、自宅でパーティを開いちゃうOLさんは、プチ料理コーディネータ。
そしてなにより、ブログで毎日投稿している人たち。ブロガーとかいうけれど、そのまえにプチ作家、プチ評論家、プチ詩人。
岡田斗司夫は、そうやって、プロ(本業)じゃないけれど、楽しんで、自分から自由に表現(クリエイティブ)している人たちを、プチクリと呼ぶ。
そういう彼自身が、なにより自分はプチクリであり、専門家ではないという。あるときは、アニメ評論家であり、プロデューサーであり、会社経営者であり、TVのコメンテーターであり・・・。
しかし、勘違いしてはいけない。
「プチクリ」とは、何かを作り出し、発表する人のことである。いくらマンガやアニメが好きでも、ただ読んだり観たりするだけの人はプチクリとはいえない。
自分でもイラストを描いたり、同人誌を出したり、批評文を書いてはじめてプチクリといえる。
オタクやマニアにとって大切なのは作品だが、クリエイタにとって大切なのは、「好き、という気持の表現」である。つまり、プチクリは表現者でなくてはならないのだ。
この本は、いわばプチクリ講座なのだが、自分の好きなことをどう発見するか、発見してそれをどういうふうに表現していったらいいかのヒントを示し、さらに表現力の伸ばし方についても語っている。
この最後の「表現力の伸ばし方」というのが、今回のぼくのDEP*1。
とても素晴らしい絵や映画や小説を見たときなど、思わず「この作品をつくった人はすごい才能を持っている」と思いがち。でも、それは違うという。
素晴らしい作品を作るのは、決して「大いなる才能」ではありません。
それよりももっと問題なのは、「確実な表現力」です。
もちろん、クリエイタに才能の量や質がまったく関係ないというのではない。あればあったほうがいい。しかし、「才能の差=できあがった作品の差」ではないという。
では、なにが関係してくるのかというと、それは「自分の才能を引き出す能力」であると、岡田は言う。自分の才能を100%引き出せる人もほとんどいないが、まったく引き出せない人も意外に多いらしい。
ではどうしたら、自分の才能をより多く引き出せるだろうか?
それが、以前紹介した、スティーヴン・キングの「ナイフを研ぐ」という一文だ。
http://thx.hateblo.jp/entry/20140625/1403626710
天才キングですら、自分の「才能」を引き出すために、ひたすら書き続けている。況んや、凡人をや。
キングが問題にしていたのは、「才能の大きい/小さい」ではなく、その才能を「使える状態にしているか」ということである。
それを受けて、岡田はこう言い切る。
クリエイティブにとって本当に必要なのは才能ではなく、その才能を使いこなし、発揮できる「表現力」なのです。
と、ここで疑問なのが、「才能」と「表現力」は違うのか、ということである。
それは違う、と岡田は断言する。(つづく)
*1:Dog-Ear point、ページの隅折りポイント。つまりはこの本の中で大事なポイント。