林雄司『世界のエリートは大事にしないが、普通の人にはそこそこ役立つビジネス書』(扶桑社)、読了。
世界のエリートは大事にしないが、普通の人にはそこそこ役立つビジネス書
- 作者: 林雄司
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2014/04/10
- メディア: 単行本
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林雄司さんといえば、人気ウェブサイト「デイリーポータル Z:@nifty」の編集長で、
「ペリーがパワポで提案書を持ってきたら」
http://portal.nifty.com/2010/02/21/b/
「耳なし芳一をパワポにする」]
http://portal.nifty.com/kiji/121002157616_1.htm
などのプレゼンパロディで笑わせてくれたが、この本にはプレゼンを乗り切る方法やアイデア・企画をひねり出すコツ、ネットでの処世術など、林さん流の「いかにも仕事ができる(ように見せる)」メソッドの数々が披露されている。
目次が公開されているので、面倒くさいから全部載せておこう。
- 第1章 憂鬱なプレゼンを乗り切る
メソッド─その1 儲からなくてもいいから目立たせる
メソッド─その2 社内より、外での評価を上げる
メソッド─その3 偉い人の「おれはこういうユーモアが嫌いじゃない」という気持ちを刺激する
メソッド─その4 ソーシャルブームは追い風である
メソッド─その5 「かっこいいビジネス用語」を駆使する
メソッド─その6 「もっともらしいビジネス枕詞」を駆使する
メソッド─その7 「とりあえず言っとけワード」を駆使する
メソッド─その8 資料の図表は手描きにする
メソッド─その9 資料は要素の幅を揃える
メソッド─その10 プレゼンはこっそり練習する
メソッド─その11 プレゼンでは資料に突っ込む
メソッド─その12 プレゼンはモノマネして乗り切る
メソッド─その13 プレゼンでは笑ってる人だけを見る
メソッド─その14 話がわからなくなったら人の目を見る
メソッド─その15 相手によって説明を使い分ける
メソッド─その16 続くことが大事
メソッド─その17 商談は真剣に
メソッド─その18 名刺1枚で10分話を続ける
メソッド─その19 困ったおじさんの話で会社の飲み会を乗り切る
メソッド─その20 お詫びメールにはコツがある
- 第2章 最低限の努力で人を動かす
メソッド─その21 もやっとしたアイデアでいい
メソッド─その22 実用性は間口を広げる(でも入口まで)
メソッド─その23 辛いことも、引いて見ると面白い
メソッド─その24 公私混同しないと人は本気にならない
メソッド─その25 ときにはニセの気合を出してみる
メソッド─その26 予算ゼロを根拠に説得する
メソッド─その27 締め切りを設定する
メソッド─その28 催促メールはしれっと書く
メソッド─その29 メールにちょい足しする
メソッド─その30 人の企画には茶々を入れて膨らませる
メソッド─その31 会議はお菓子を食べながら
メソッド─その32 ほめ方にバリエーションをつける
メソッド─その33 アフターケアを大事にする
メソッド─その34 記事には情報か共感があればいい
メソッド─その35 途中で話を変えていい
メソッド─その36 取材が嫌ならしなくていい
メソッド─その37 オチはなくてもいい
メソッド─その38 努力を禁止する
メソッド─その39 楽しんでいい
メソッド─その40 人数とテンションは反比例する
メソッド─その41 飲み会取材は要注意
メソッド─その42 編集部も書く
- 第3章 アイデア・企画をひねり出す
メソッド─その43 アイデアは降りてこないことを自覚する
メソッド─その44 興奮を大事にする
メソッド─その45 PVは無視してもいい
メソッド─その46 素材を集めるにはコツがある
メソッド─その47 得意パターンを作っておく
メソッド─その48 より安易に企画を作る
メソッド─その49 オーソドックスに展開してみる
メソッド─その50 斬新すぎてはいけない
メソッド─その51 常に機嫌よくいる
メソッド─その52 外に出る
メソッド─その53 口に出して考える
メソッド─その54 インプットはアウトプットに引きずられる
メソッド─その55 おっさん3人は鉄板
- 第4章 インターネット上の処世術
メソッド─その56 ツイッターに不満を書かない
メソッド─その57 怒りはすぐ忘れる
メソッド─その58 声や対面は便利である
メソッド─その59 炎上しにくいコツを知る
メソッド─その60 読者の声を用意しておく
メソッド─その61 批判をしないのは自分のため
メソッド─その62 かわいそうキャラはほどほどに
メソッド─その63 笑いを全面に出さない
メソッド─その64 書きたいことを書くと外しても恥ずかしくない
メソッド─その65 あえてポジティブにする
メソッド─その66 本名で書く・顔出しをする
メソッド─その67 サビはいちばん前に持ってくる
メソッド─その68 両親に説明するように書く
メソッド─その69 プチプレゼンする
メソッド─その70 文体はもっともらしく
メソッド─その71 面白さのキーワードは「近さ」
メソッド─その72 知識でおびきよせてエピソードで引きずり込む
メソッド─その73 自由度が低いほうが、人は集まる
メソッド─その74 書いたらいい評判しか見ない
メソッド─その75 宣伝するときは景気良く
メソッド─その76 外れた記事はなかったことになる
メソッド─その77 続けるためにやめない
基本的にはどこから読んでも構わないつくりだが、前メソッドの内容を引き継いでいるところもあるので、目次通りに読んだ方が流れがいいかもしれない。ぼく個人は3章4章から読んだ。
文章のテイストは意識的に脱力系を装っているが、仕事にたいしてはわりあいストイックな人なんだろうと感じる。気の利いたことを言うまえに脱線させたりしているけれど、それに惑わされなければいい。
使えるTIPS満載ということもたしかに有難い。けど、ぼくは林さんが寄稿するライターや「デイリーポータルZ」という”場”を、とても大事にしているんだなという印象を受けた。
how to doが先行しているんでなくて、林さんのなかにhow to beがしっかりとあるからこそのメソッドのような気がした。