慶應鶏肋録

めし、フロ、慶應通信の勉強(卒論)、ついでの雑用とか

すわ、日米対決!? (「ゴジラ」映画シリーズ #3)

今日は午後から、家族一同キッザニアへ行ってきます。
終了時間は21:00予定。電池完全放電して帰宅予定のはず、さらに明日は娘が保育園休みで一日付き合わなくちゃならないはずなので、そのまえにゴジラ2本観ておくことにする。

いよいよキングコング登場(微苦笑)

f:id:zocalo:20140524222911j:plain
※ネタバレあります。

昭和ゴジラシリーズの第3作目は、『キングコング対ゴジラ』。1962年8月11日に、東宝創立30周年記念作品として公開された。
観客動員数は1255万人、ゴジラシリーズでは歴代最高の動員数だという。
東宝キングコングを登場させるにあたって、先方の権利者に、当時映画製作3本分にあたる莫大な使用料を支払ったようだが、大ヒットのおかけで無事回収された。

前作『ゴジラの逆襲』から7年、ゴジラ作品では初のカラー作品でもある。この作品で初めてゴジラの体色や、放射火炎するさいの背びれの青白色が披露された。
また、「怪獣○○対怪獣××」という、怪獣同士の対決スタイルを決定づけた作品といわれている。


キングコング対ゴジラ - YouTube

ゴジラキングコングをぶつける構図に、「なんでそうなるかなー(笑)」というのは後生の余計なお世話であろうか。
じつはゴジラの誕生に、キングコングが少なからず影響を与えていた、という説がある。東宝プロデューサーの田中友幸が、キングコングリバイバル版が日本でもそこそこヒットしていているのを横目で見て、日本でも怪獣キャラクタがいけるという判断につながったのだという。

本編には、タイトルクレジットのバックに配置された密林、キングコングゴジラの口に木を突っ込むシーン、女性をさらって国会議事堂によじ登るシーンといったように、オリジナル『キングコング』へのオマージュ的シーンが散見される。
キングコング自体は、この映画でも南島の「巨大な魔神」と説明されているが、観ている観客としてはアメリカの怪獣が日本にやってきた、という感覚が少なからずあったのではないか。

とすれば、ゴジラは自然「日本の怪獣」というキャラ設定になってくる。じっさいに劇中でも、北極海から南下して日本に上陸したゴジラにたいし、ゴジラの帰巣本能から東京に必ず向かってくる、と生物学の権威・重沢博士なる人物(この役は、第1作でオキシジェンデストロイヤーを作製した芹沢博士役の平田昭彦である)に語らせている。

f:id:zocalo:20140524223840j:plain

あれ、ゴジラって、日本で生まれたんだっけ?
アメリカによる度重なる水爆実験の結果、この世に生まれ出たんじゃなかったか?

となると、キングコング対ゴジラの対決の構図は、にわかに日米対決の構図、ととらえても牽強付会にはならないのではないか。この映画の公開時は1962年。日米安全保障条約 (新安保) が成立したのは2年前だから、人びとの記憶にも安保騒動は記憶として新しいと思える。
富士山麓で相見えた両雄は、激しい闘いを繰り広げつつ、熱海沖で組み合ったまま海中に没する。浮上したのはキングコングだが、キングコング自身は日本を振り返ることなくそのまま生まれ故郷の島に戻っていく(と、登場人物に説明させている)。

では、ゴジラはどうなったか。
ゴジラ自身は二度と姿を見せない。キングコングが浮上するまえに、一度大きな地震が起きるが、それはゴジラが自分のねぐらである地下に帰っていくとき生じたものという解釈もある。
いずれにしても、勝敗の決着はあいまいなままで、物語は唐突に終わりを迎える。じつは第4作目の「モスラゴジラ」もそうだが、とっとと幕を引きたい感じが画面から伝わってくるのである。
「はい、これで終わり。じゃあね」みたいな。
世紀の対決の余韻らしきものは、どこに伺えないのである。
伺えないのはそれだけではない。「ゴジラ」初回作が醸しだしていた「生々しさ」とか「核」にたいする緊張感は、もうどこにも見当たらなくなっている。